SLII実践ガイド

SLII実践における目標設定と行動計画策定:部下の発達レベルに応じたリーダーシップの具体的な関わり方

Tags: SLII, 目標設定, 行動計画, 発達レベル, リーダーシップ

はじめに

組織における目標達成と人材育成は、リーダーシップの重要な役割です。特に、変化の速い現代ビジネス環境においては、画一的なアプローチではなく、個々の部下の状況に応じた柔軟なリーダーシップが求められます。シチュエーショナル・リーダーシップ(SLII)は、部下の発達レベルに合わせてリーダーシップスタイルを使い分けることで、部下の成長を促し、目標達成を支援する効果的なフレームワークです。

この記事では、SLII理論に基づき、目標設定から行動計画策定に至るプロセスにおいて、リーダーが部下の発達レベルに応じてどのように関わるべきか、具体的なアプローチを解説します。

シチュエーショナル・リーダーシップ(SLII)の基本的な考え方

SLIIは、リーダーシップを「行動」として捉え、部下の特定の目標やタスクに対する「発達レベル」に応じて、リーダーの「指示的行動」と「支援的行動」のバランスを調整することを提唱しています。

目標設定と行動計画策定は、部下がタスクを遂行する上での「目標」や「タスク」そのものに対する発達レベルを見極め、適切なリーダーシップを発揮する機会となります。

目標設定・行動計画策定プロセスとSLIIの活用

目標設定から行動計画策定、そして実行への移行は、部下の成長ジャーニーにおいて極めて重要なステップです。リーダーは、このプロセス全体を通じて、部下の発達レベルに応じた関わり方を調整する必要があります。

1. 目標の明確化と合意形成

最初のステップは、達成すべき目標を部下とともに明確にすることです。SMART原則(具体的: Specific, 測定可能: Measurable, 達成可能: Achievable, 関連性: Relevant, 期限: Time-bound)などを活用し、誰が見ても理解できる形に落とし込みます。

2. 行動計画の策定

目標が明確になったら、それを達成するための具体的なステップ、必要なリソース、期日などを盛り込んだ行動計画を策定します。

3. プロセス全体を通じたリーダーの関わり

目標設定と行動計画策定は一度行えば終わりではありません。実行段階での進捗確認や、予期せぬ事態への対応も重要です。

効果的な実践のためのポイント

SLIIを活用した目標設定・行動計画策定を効果的に行うためには、いくつかの重要なポイントがあります。

まとめ

シチュエーショナル・リーダーシップ(SLII)は、目標設定から行動計画策定に至る人材育成プロセスにおいて、部下の発達レベルに応じたきめ細やかなリーダーシップを可能にする強力なフレームワークです。

部下の能力と意欲を見極め、指示的行動と支援的行動のバランスを適切に調整することで、部下は目標達成に必要なスキルと自信を効率的に習得し、自律的に貢献できるようになります。D1にはS1で具体的な指示、D2にはS2で指示と励まし、D3にはS3で意見交換と支援、D4にはS4で委任と信頼、といったように、個々の状況に合わせた関わり方が、部下の成長を加速させ、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。

SLIIを組織に導入し、リーダー一人ひとりがこれらの実践を積み重ねることで、変化に適応できる柔軟性の高い組織文化と、継続的に学習・成長する人材を育成することが期待できるでしょう。研修プログラムを通じて、リーダーの診断スキルとスタイルスイッチング能力を高めることが、その実現に向けた重要な一歩となります。