SLII実践ガイド

SLII®を企業文化に根付かせる:成功のための導入ステップとポイント

Tags: SLII, 組織開発, 人材育成, リーダーシップ研修, 導入

シチュエーショナル・リーダーシップII®(SLII®)は、リーダーが部下の特定の状況(タスク遂行能力と意欲・自信の発達レベル)に応じて適切なリーダーシップスタイルを選択・適用することで、部下のパフォーマンス向上と自律的な成長を促進する、実践的かつ効果性の高いリーダーシップモデルです。組織全体のリーダーシップ能力を底上げし、エンゲージメントや生産性向上に貢献するため、多くの企業で導入が検討されています。

しかし、SLII®を単に研修プログラムとして導入するだけでは、その効果を最大限に引き出し、企業文化として定着させることは容易ではありません。組織へのSLII®導入を成功させるためには、体系的な計画と、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

本記事では、SLII®を組織に導入し、リーダー育成を通じて企業文化として根付かせるための実践的なステップと、成功に導くためのポイントについて解説します。企業の研修企画担当者様が、SLII®導入プロジェクトを推進される上での一助となれば幸いです。

SLII®組織導入の全体像

SLII®の組織導入は、単発の研修実施ではなく、戦略的な組織開発プロジェクトとして捉える必要があります。一般的に、以下の3つのフェーズで進行します。

  1. 計画フェーズ: 導入の目的を明確にし、体制を構築する。
  2. 実行フェーズ: 研修プログラムの実施、パイロット導入などを通じて展開する。
  3. 定着フェーズ: 全社展開、継続的なフォローアップ、効果測定を通じて文化として根付かせる。

これらのフェーズを円滑に進めるための具体的なステップを見ていきましょう。

ステップ1:導入目的とゴールの明確化

組織がSLII®を導入する「なぜ」を明確にすることから始めます。

このステップで設定した目的とゴールは、プロジェクト全体を通じて関係者間で共有され、判断の基準となります。

ステップ2:経営層・推進体制の構築

SLII®導入を成功させるためには、組織全体での理解と協力が不可欠です。特に経営層の積極的な関与(スポンサーシップ)は、プロジェクトの推進力となります。

推進体制が明確であることは、プロジェクトの実行スピードと質を高める上で重要です。

ステップ3:研修プログラムの設計・選定

SLII®の理論と実践スキルを組織内に浸透させるための核となるのが研修プログラムです。

単に知識を伝えるだけでなく、参加者が現場でSLII®を「使う」ことができるようになる実践的なプログラム設計が重要です。

ステップ4:パイロット導入とフィードバック

本格的な全社展開の前に、一部の部署やチームでパイロット導入を実施することを推奨します。

パイロット導入を通じて得られた知見は、その後の全社展開を成功させるための貴重な情報となります。

ステep5:全社展開と継続的な取り組み

パイロット導入での検証と改善を経て、全社への本格展開を進めます。そして、SLII®を一時的なブームで終わらせず、組織文化として定着させるための継続的な取り組みが不可欠です。

SLII®の実践が組織内の「当たり前」となるよう、継続的な働きかけとサポート体制を維持することが、企業文化への定着に繋がります。

導入成功のためのポイント

上記のステップに加え、以下のポイントを意識することで、SLII®導入の成功確率を高めることができます。

まとめ

SLII®は、リーダーが状況に応じて柔軟なスタイルを使い分けることで、部下の成長とパフォーマンスを最大化するための強力なフレームワークです。その効果を組織全体にもたらすためには、単なる研修プログラムの実施に留まらず、戦略的な計画に基づいた導入と、文化として定着させるための継続的な取り組みが必要です。

本記事でご紹介したステップとポイントが、貴社におけるSLII®導入プロジェクトの一助となり、組織全体のリーダーシップ向上、ひいては持続的な成長に貢献できることを願っております。